日本国内では様々な保険制度に加入できますが、その中では専門用語や類似する用語が多数あり、意味を理解しておかないと自分に合った保険や給付金を選べない可能性も出てきてしまいます。
そんな状況を防ぐために、この記事では日本の保険制度でよく用いられる用語とその解説を五十音順でまとめていきます。
日本における保険制度とは
日本国内で加入できる保険制度は大きく分けて「公的保険」と「民間保険」があります。
保険制度 | 概要 | 主な保険 |
---|---|---|
公的保険 | 国が管理・支給する保険制度日本国民、 または一定の条件を満たした企業の従業員等について加入する義務がある | 公的医療保険、 労災保険、 公的年金、 雇用保険 など |
民間保険 | 保険会社が管理・支給する保険制度公的保険と異なり任意で加入する | 民間医療保険、 生命保険、 損害保険 など |
このうち公的保険については日本国民であれば必ず加入しているので、自分で選んで保険加入するのは、民間保険に分類される保険です。
そんな違いも含めて、用語と解説を見ていく前に日本にほける各保険制度を見ていきます。
公的医療保険の種類と受け取れる給付金
日本国民が安心安全に医療を利用できるように規定されている国民皆保険制度があり、その中で社会保障としてあるのが公的医療保険です。
この公的医療保険があることで、医療機関で治療等を受ける際にかかる費用が1割から3割の自己負担で済むようになっています(自己負担割合は年齢によって変わります)。
そんな公的医療保険を分けると、以下の3種類になります。
被用者保険 | 企業や公的施設などに雇用されている者やその者が扶養する家族が加入する健康保険 |
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国民健康保険 | 被用者保険と後期高齢者医療制度のどちらにも加入していない場合に加入する健康保険主に自営業者やフリーター、その家族などが被保険者になります |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上の者と一定の身体的障害がある65歳以上から74歳以下の者が加入する健康保険一定の身体障害は以下の状態が該当します ・身体障害者手帳の1・2・3級を所持している者 ・身体障害者手帳の4級を所持していて、音声機能または言語機能の障害、下肢障害の1号~4号に該当する者 ・療育手帳A1・A2を所持している者 ・精神障害者保健福祉手帳1・2級を所持している者 ・障害基礎年金1・2級の国民年金証書を所持している者 |
また、被用者保険は雇用されている企業の規模や特殊な勤務先によって、更に以下の4つに分類できます。
組合管掌健康保険 | 大企業に雇用されている者が加入する健康保険 |
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全国健康保険協会管掌健康保険 (協会けんぽ) | 主に中小企業に雇用されている者が加入する健康保険 |
船員保険 | 船舶で働く船長や船員などが加入する健康保険 |
共済組合 | 公務員や私立学校に勤める教職員が加入する健康保険 |
そして、公的医療保険に加入していることで受けられるもう1つの特典として、病気や怪我などの特定の状況に該当した時に、受け取れる各種給付金があります。
以下は各種給付制度の概要と3つの被用者保険における給付の対応の可否です。
給付制度 | 概要 | 被用者保険 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療制度 |
---|---|---|---|---|
療養費 | 公的医療保険制度に加入している者が保険診療を受けることが困難な時、もしくはやむを得ない事情で保険診療が適用されない医療機関で診療した時にかかる費用が支給される制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
入院時食事療養費 | 入院した時の食事にかかる費用が定められた標準負担額を超えた場合に、その超過分を健康保険が負担する制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
入院時生活療養費 | 65歳以上を対象として入院した時の食費及び居住費が定められた標準負担額を超えた場合に、その超過分を健康保険が負担する制度 | 〇(65歳以上) | 〇(65歳以上) | 〇 |
保険外併用療養費 | 保険外診療の中でも特定の条件を満たした評価療養と選定療養についての併用を認め、それらにかかる費用については、保険診療に準じた範囲で保険を適用する制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
移送費 | 病気や怪我が理由で移動が難しい被保険者が、医師の指示から一時的または緊急的に移送された場合、その移送に使った費用が現金で支給される制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
訪問看護療養費 | 居宅で療養している被保険者が訪問看護ステーションの訪問看護師から療養に関わる世話や診察等を受けた場合に、そこにかかる費用を健康保険が負担する制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
高額療養費 | 長期の入院や治療にかかる総医療費が自己負担限度額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
高額介護合算療養費 | 同一の医療保険に加入している者及び世帯について、1年間(8月1日から翌年7月31日までの期間)に医療保険と介護保険の自己負担額の合計が一定の基準を超えた場合に、その超過分が支給される制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
傷病手当金 | 被用者保険の被保険者が病気や怪我を理由に会社を休んでいて、十分な報酬が支給されてない場合に支給される制度 | 〇 | × | 〇 |
出産一時金 | 被保険者及び被扶養者が出産した時に現金が支給される制度 | 〇 | 〇 | – |
出産手当金 | 被用者保険に加入している被保険者が出産を理由に会社を休んでいて、報酬が支給されてない場合に支給される制度 | 〇 | × | – |
埋葬料(葬祭費)・埋葬費(葬祭料) | 埋葬を行った家族(被保険者に生計を維持された者)に対して5万円、死亡した被保険者に家族がいない場合は埋葬を行った者に5万円以内で埋葬にかかった費用が支給される制度 | 〇 | 〇 | 〇 |
傷病手当金や出産手当金といった会社の休業に関わる給付金については、雇用されている者が加入する被用者保険のみ対応しています。
それ以外の給付金は、年齢要件さえ満たしていると、いずれの被用者保険でも受け取れます。
公的年金制度の概要と支給される年金
日本国民が高齢になる・障害に該当する・死亡することによって、働けなくなったり、家系を支える者がいなくなったりした際、その後の生活を支える制度が公的年金制度です。
公的年金制度は現在働ける世代が保険料を納めて、その保険料を高齢者等の年金として給付するもので、現在働ける世代は保険料を納めたことで、将来的に年金を受け取れるようになります。
現在の日本の公的年金制度では厚生年金と国民年金の「2階建て」が採用されています。
年金の種類 | 概要 | 支給される年金 |
---|---|---|
厚生年金 | 会社や公務員などの雇用されている人が国民年金と共に加入する公的年金制度保険料を納める際は国民年金の分を含めて、会社等が納めることになります | 老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金 |
国民年金 | 日本国内在住の20歳以上60歳未満の全員が加入している公的保険制度 | 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 |
国民年金は基礎年金として1階部分となり、厚生年金は年金の支給事由に該当した際に基礎年金へ上乗せする形で支給されることから、2階部分にあたります。
そんな公的年金制度の被保険者は、2つの年金の加入状況によって、以下のように分類されます。
被保険者の分類 | 概要 | 主な加入者 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 国民年金のみ加入している被保険者 | ・自営業 ・農業や漁業 ・フリーター ・無職 ・第2号と第3号に該当しない配偶者 |
第2号被保険者 | 国民年金と厚生年金の両方に加入している被保険者 | ・会社員 ・公務員 ・私立学校の教職員 |
第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている配偶者 (第3号被保険者本人は国民年金のみ加入) | ー |
また、実際に基礎年金及び厚生年金を受給できる状態と受給者は以下の通りです。
年金の種類 | 受給資格 | 受給者 |
---|---|---|
老齢年金 | 65歳から | 被保険者本人 |
障害年金 | 病気や怪我によって障害が残るなど、一定の状態に該当した場合 | 被保険者本人 |
遺族年金 | 国民年金・厚生年金の被保険者もしくは被保険者であった者が死亡した場合 | ・遺族基礎年金の場合: 子、または生計を同じくする配偶者 ・遺族厚生年金の場合: 生計を維持していた遺族の中で以下の優先順位 ①子のある妻、子のある55歳城の夫、子 ②子のない妻、子のない55歳以上の夫 ③55歳以上の父母 ④孫 ⑤55歳以上の祖父母 ※子や孫については、18歳になった年度の3月31日に達していない者、20歳未満かつ障害年金の障害等級1級または2級に該当する者 |
これらの年金を受給するためには請求手続きが必要であり、老齢年金についても65歳に達しただけで自動的に支給されるものではありません。
民間医療保険・生命保険の種類と受け取れる給付金
民間保険は保険会社が販売している商品であり、公的保険を補う形で給付等を行っていくサービスです。
民間医療保険や生命保険が代表的な保険であり、その中でも更に細かく保険の種類を分類すると、主に以下のような種類があります。
保険の種類 | 概要 | 受け取れる給付金 |
---|---|---|
医療保険 | 病気や怪我が理由である入院や手術をした際に給付金が受け取れるタイプの保険公的医療保険で給付の対象となっていても別途受け取れます | 入院給付金手術給付金満期保険金 (満期がある場合) |
がん保険 | がんが理由である入院や手術をした際に給付金が受け取れるタイプの保険死亡保険金のみ保険会社の商品によっては付かないこともあります | 入院給付金手術給付金死亡保険金 (付かない商品もある) 満期保険金(満期がある場合) |
個人年金保険 | 公的年金制度とは別に保険会社へ保険料を払い込むことで積み立てて、将来的に年金を受け取れるタイプの保険他の保険とは異なり病気や怪我などに対する保障はありませんが、払込期間満了時に受け取る年金の金額は払い込んだ保険料の総額よりも必ず大きくなります | (個人)年金 |
死亡保険 | 被保険者が死亡した際、もしくは高度障害に該当した際に保険金が支払われる保険なお、死亡保険で無くても保険内容や特約によっては死亡保険金が支払われることがあります | 死亡保険金満期保険金 (満期がある場合) |
終身保険 | 死亡保険の保障が一生涯にわたって続く場合の保険のこと | 死亡保険金 |
収入保障保険 | 被保険者の死亡または高度障害に該当した際に、保険期間の満期まで死亡保険金を毎月一定の金額ずつ受け取れる保険基本的に保険期間は一定であり、保険料は年数が経過することに減少していきます | 死亡保険金満期保険金 |
定期保険 | 保険期間が5年や10年などの一定の期間であり、その期間中に死亡保険の保障が適用される保険のことただし、養老保険のように満期保険金は貰えません。なお、満期を迎えても任意で継続することも可能です | 死亡保険金 |
養老保険 | 保険期間が一定の期間であり、その期間中で死亡・高度障害に該当した際は死亡保険金、満期時に生存していた際は満期保険金が受け取れる保険この保険における死亡保険金と満期保険金の金額は同額になります。 | 死亡保険金満期保険金 |
任意で加入する保険ですが、公的保険では保障できないがんに対して給付金が出るなど、民間保険だからこそできる保障もあります。
五十音順で見る保険の用語と解説
ここからは公的保険・民間保険で使われることが多い用語について解説していきます。
五十音順で並べているので、保険契約でわからない用語が出てきた際にも活用してみてください。
保険の用語集:あ行・か行
以下は保険で使われるあ行とか行の用語です。
頭金払い・一部一時払
保険料の払込方法の1つで、保険契約時に保険料の一部を1回で払い込むこと。
移行
保険料の払い込みが終わった後の特定の時期に、契約している保障内容を保険会社の設定した範囲内で変更できること。
意向確認(書面)
契約を申し込んだ生命保険商品の内容が、契約者のニーズと一致しているかを確認すること、またはそれを記した書面のこと。
一時払
保険料の払込方法の1つで、保険契約時に期間中に支払う保険料の全額を1回で払い込むこと。
一般社団法人 生命保険協会
日本国内で営業する全ての生命保険会社が加入している協会で、生命保険の健全な発展や生命保険の相談・照会などを受け付けています。
受取人(保険金・給付金受取人)
主に医療保険や生命保険で使用される用語で、保険によって給付される保険金を受け取れる人のこと。
基本的に診療や通院などを理由とする給付は契約者本人、死亡保険の給付は配偶者もしくは二親等以内の血縁者ですが、保険会社によって指定できる血縁者は変わります。
延長保険
保険料の払い込みを中止して、その時に返還される解約払戻金を元にして、その保険金額と同じ定期保険に変更すること。
ただし、解約払戻金の金額が足りなかったり、契約している保険の種類によっては利用できません。
解除(契約の解除)
契約者が告知義務違反などの一定の状況に該当した時に、保険会社が契約の一部または全部を解消すること。
解約
契約者の意思で将来的に保険契約を解消すること。
解約払戻金/解約返還金/解約返戻金
保険契約の解約や払い込みの中止時に、契約者に対して払い戻されるお金のこと。
ただし、解約・中止時まで支払っていた保険料の全額が返還されるわけではありません。
確定年金
個人年金保険の1つで、年金受給者の生死にかかわらず、保険契約時に設定した一定期間に年金を受け取れる制度のこと。
仮に年金受給者が死亡した場合、残余期間の年金は遺族が受け取れるもので、年金の受け取り期間は保険会社によって異なります。
掛け捨て型/掛け捨て保険
満期保険金や解約払戻金などのお金の返還がない型、またはその保険のこと。
がん保険責任開始日/がん保険の免責・猶予期間
がんにかかわる保証が開始される日のこと。
一般的に申し込みをした時点(責任開始日)を含めた91日目から開始されるもので、それより前の90日間もしくは3ヶ月間が保証されない期間(免責・猶予期間)になります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業年金保険の1つで、企業が拠出した掛金を投資信託や定期預金などの商品で、従業員自らが運用して積み立てていく制度のこと。
給付金
被保険者に支払事由が発生した時に払うお金で、主に入院や手術を理由として被保険者の生存時に支払われる場合は、給付金と表記されています。
基本的に給付金を受け取った後でも、契約は継続されます。
拠出型企業年金保険
企業年金保険の1つで、従業員が払い込んだ保険料を投資信託や定期預金などの商品で、企業の役員や従業員自らが運用して積み立てていく制度のこと。
クーリング・オフ
申し込んだ後の保険契約を撤回できる制度のこと。
民間保険の場合は一般的に以下の条件を満たすことでクーリング・オフを申請できます。
- 契約者が書面でクーリング・オフを申し込むこと
- 保険契約を申し込んだ日から8日以内の申請であること(保険会社によっては10日~30日以内など日数を延長して受け付けています)
- 契約に際して医師の診査を受けていないこと
なお、新規や転換による契約はクーリング・オフの対象になりますが、契約済みの保険で途中から特約を追加した時や更新する時は対象になりません。
契約応当日
保険契約後の保険期間中に迎える契約日に対応する日のこと。
たとえば契約日を4月1日とした場合、保険料を支払うタイミングによって以下の契約応当日になります。
- 毎月保険料を支払うタイプの保険:5月1日・6月1日といった毎月の1日
- 半年ごとに保険料を支払うタイプの保険:毎年4月1日と10月1日
- 年単位で保険料を支払うタイプの保険:毎年4月1日
契約概要
生命保険商品の内容について、顧客に確認して貰いたい情報や、事項を記載した書面のこと。
契約者貸付
生命保険において、契約している保険の解約払戻金の一定範囲内で貸し付ける制度のこと。
一般的に契約者貸付を利用した後も対象となった保険における保証は継続します。
ただし、貸付であるため返済が必要であり、保険会社ごとに設定した利息が発生します。
また、生命保険の種類によっては利用できないこともあります。
契約年齢
契約日を基準に満年齢で計算される被保険者の年齢のこと。
1年未満の月は切り捨てるため、たとえば契約日に30歳10ヶ月である被保険者は30歳として扱われ、契約日以降は年単位の契約応当日ごとに1歳ずつ年齢が加算されていきます。
契約日
契約年齢や保険期間などを計算する際の基準日のことで、原則、責任開始日が契約日にあたります。
ただし、責任開始日までに猶予期間があったり、責任開始日が保険料の払込方法を参照したりする場合は、契約日と責任開始日は同じ日にならないこともあります。
その場合の契約日は、責任開始日が属する月の翌月の1日に設定されます。
更新(型)/自動更新
契約中の保険について保険期間が満了した時、所定の条件を満たしていると健康状態に関係なく、それまでと同様の保証内容を継続できる制度のこと。
更新型の保険に加入している場合、契約者の申請がない限り、自動的に継続(自動更新)されます。
ただし、保険料については更新時の被保険者の年齢・保険料率が適用されるため、通常は更新前の保険料よりも高くなります。
告知/告知義務/告知義務違反/告知書
告知とは、生命保険における新規の契約や契約の復活・復旧などの手続きの際、契約者や被保険者の傷病歴や健康状態、職業等を保険会社が尋ねた内容に答えることをいい、その情報を記入する書類を告知書と言います。
そして、この告知はいずれの保険会社でも噓偽りなく書かなければならない告知義務を設けており、意図的に情報を隠すことや事実を告げないことは告知義務違反になるのです。
告知義務違反に該当していて、責任開始日から2年以内の場合、もしくは責任開始日から2年以内に保険金を受取事由が発生していた場合は、契約は解除されます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人年金保険の1つで、振り込んだ保険料を投資信託や定期預金などで自らが運用して積み立てていく制度のこと。
保険の用語集:さ行・た行
以下は保険で使われるさ行とた行の用語です。
歳満了(契約)
生命保険において被保険者の年齢を基準として保険期間を設定する契約のこと。
たとえば70歳満了契約の場合、被保険者が70歳になった後に迎える契約応当日の前日までが保険期間となります。
差額ベッド代/特別療養環境室料
入院時に個室や少人数部屋を希望して入室した時にかかる費用のこと。
差額ベッド代が発生するのは以下の条件を満たした特別療養環境室です。
- 病室の病床数が4床以下であること
- 病室の面積が1人当たり6.4平方メートル以上あること
- 病床ごとのプライバシーが確保できる設備を備えていること
- 少なくとも個人用の私物収納設備、個人用の照明、小机及び椅子を有していること
金額は病院ごとに設定されるもので、基本的に全額自己負担になります。
失効/失効取消/失効取消(可能)期間
契約の効力が失われることであり、保険においては保険料の払い込みを遅延する、払込猶予期間を過ぎても払い込みができない場合に失効となり、保証がない状態になります。
その際、保険会社によっては、払込猶予期間とは別に失効取消可能期間が設けられている場合があり、この期間内に保険料を払い込みをすると、失効取消となることもあります。
指定代理請求特約/指定代理請求人
保険金や給付金を受け取る際は被保険者本人が請求する必要があるところを、事前に指定代理請求人を指定しておくことで、その人物が被保険者本人に代わって保険金等を請求できる特約のこと。
指定代理請求人は被保険者の配偶者または三親等内の親族を指定しているところが多く、実際に特約を適用できるのは、被保険者本人が事故や病気などによって給付金を請求できない状態である時のみになります。
また、一般的にこの特約を付与する場合の保険料はかかりません。
自動振替貸付
解約払戻金がある保険において、払込猶予期間を過ぎても保険料が支払われていない場合に、保険会社から解約払戻金の範囲内で自動的に貸し付けして貰うことで、契約を継続させる方法のこと。
解約払戻金の有無以外にも、保険の種類や払込年数が少ない場合は利用できない可能性があります。
支払事由
保険会社が保険金や給付金などを支払う状況・事情を指す言葉で、たとえば死亡保険に加入している場合の保険金の支払事由は、被保険者の死亡や高度障害に該当する時になります。
就業不能(保障)保険/所得補償保険
病気や怪我を理由に働けなくなり、収入が減少するなどの状態(就業不能状態)が一定期間継続した際に、保険金や給付金が受け取れる保険のこと。
終身払込
保険料の払込方法の1つで、保険料の払い込みが一生涯にわたる方法のこと。
有期払込と比較すると、加入時から保険料が変更されないことから時世に左右されずに利用できますが、支払い続ける形式であるため、満期保険金は受け取れません。
主契約
主に生命保険において使用される用語で、その保証内容のみで保険契約が成立する基本的な部分のこと。
主契約を解約した場合は同時に特約も解約されてしまいますが、特約を解約した場合でも主契約はそのまま継続できるようにしている保険会社もあります。
診査
特定の保険に申し込んだ際に、保険会社が指定する医師に健康状態を診て貰うこと。
契約において正しい告知をして貰うために行うもので、医師の診査時に申込者は告知書に基づいた健康状態などを答えていくことになります。
据置(保険金)
主に支払事由に該当した死亡保険金や満期保険金について、受け取らずに保険会社へ預けることで、会社ごとに設定された利息を付けられること。
預けられる期間は保険会社によって異なりますが、引き出しについてはいつでも自由にできるところが多くなっています。
ステップ払い/ステップ払込方式
保険料の払込方法の1つで、一定期間(5年・10年など)の保険料を低く設定して、その期間が経過した後は保険料が高くなる方式のこと。
通常の払込方法と比較すると、最終的に払い込む総金額が多くなるため、主に死亡後の遺族へ保険金を残す想定で選ばれます。
生命保険料控除
所得控除の1つであり、支払っている生命保険料に応じて契約者のその年の所得から一定額が控除される制度のこと。
税率の計算に利用する所得が低くなることで、結果的に所得税や住民税が軽減されることになります。
責任開始日(期・時)
保険会社が契約上の責任(保険金や給付金を支払うことなど)について保証を開始する日(または時期・時間)のこと。
契約を申し込んだ日以外にも契約の復活・復旧や保険金等の増額時などでも責任開始日が設定されます。
責任準備金
保険会社が将来の保険金・給付金・解約払戻金等の支払いに備えて積み立てているお金のこと。
保険業法においては保険種類ごとの積み立てが義務付けられており、積み立て方法としては主に以下の2つのどちらかが採用されています。
平準純保険料式 | 事業費を保険料払込期間全体で一定額にして、残りの部分を積み立てる方式 |
---|---|
チルメル式 | 初年度は事業費を多めに確保(積立金額を少なくする)して、2年目以降は一定の期間で償却すると想定して、積み立てる方式一定の期間は5年間もしくは10年間のチルメル期間といい、年経過後は平準純保険料式と同様の積み立て方になっていく主に新設された保険会社で採用される |
先進医療
厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた療養等で、通常の保険診療との併用が認められた医療行為のこと。
先進医療における通常の保険診療に準じた範囲(診査・入院等)については、公的医療保険制度の保険外併用療養費の給付対象となりますが、それ以外の技術料については費用の全額が自己負担になってしまいます。
前納
将来的に支払うことになる保険料の一部、または全額を事前に払い込むこと。
保険会社によっては前納することで割引等のサービスを受けられるもので、振り込まれたお金は保険料前納金として会社側が預かり、本来払い込むタイミングに充当されます。
第1回保険料充当金
保険契約の申し込みの際に振り込むお金のことで、契約成立後は第1回保険料として充当されます。
団体扱/集団級
保険料の払込方法の1つで、企業等の団体における給与から天引きする方法を団体級、集団の構成員から毎月の保険料を集金する方法を集団級といい、それぞれ一括払いで保険料を支払います。
団体定期保険(全員加入団体/任意加入団体)
企業や商工会議所などの団体が契約者となり、その従業員や役員から保険料を募ることで、従業員や役員の死亡または高度障害に該当した際に、保険金が支払われる保険のこと。
加入については企業等が条件を付けて加入させる全員加入団体か、従業員や役員が任意で加入する任意加入団体のどちらかになります。
基本的に保険期間は1年ですが、毎年自動で更新され、退職時まで継続されるものです。
貯蓄型/貯蓄保険
保険料が毎月積み立てられて、解約時には解約払戻金、満期時には満期保険金が返還される型、またはその保険のこと。
低解約返戻金型(保険)
生命保険の種類の1つで、通常の終身保険と比較すると保険料が低くなり、保険料払込期間中に解約した際の解約払戻金が少なくなる型、または保険のこと。
なお、解約払戻金については保険料払込期間が過ぎた後であれば、通常の終身保険よりも高くなります。
転換制度/分割転換(一部転換)
現在の保険契約から同じ保険会社の別の保険に契約できる制度のこと。
転換する際は保険の種類以外にも、保険料の金額や付加する特約などの変更も可能で、現在の保険契約における積み立てや配当金などは新規の契約に充当されます。
また、現在の保険契約の一部分を転換価格として新規契約に充当する転換のことを分割転換(一部転換)といいます。
特定疾病・特定部位不担保/不担保期間
生命保険における特別条件の1つで、特定の疾病または特定の部位にかかる保証を一定期間で対象外(不担保期間)とすること。
不担保期間中は特定部分にかかる入院・手術の給付金は支払われませんが、それ以外の病気や怪我については、通常の保険と同じく保証されます。
特定障害不担保
生命保険における特別条件の1つで、被保険者が保険会社が定める特定の障害状態に該当した場合に、高度障害保険金や保険料の払込免除が行われなくなること。
特定の障害は、多くの保険会社で視力障碍や聴力障害が対象になっています。
特別条件(契約)
申込者の傷病歴や健康状態などから判断して保険計画の際に一定の特別な条件を付ける、またはその契約のこと。
仮に健康状態が良くない状態の人が保険加入した場合、それでない人と比較すると、保険金等の支払事由に該当する可能性が高くなり、契約者間の公平性に欠けることから、不担保期間の特別条件を設けています。
特別配当(金)
保険を長期継続した契約者に対して、通常の配当金とは別に支給されるお金のこと。
長期継続については保険会社ごとに設定された一定期間ですが、多くは10年以上になっており、その期間を満たした上で死亡や満期時に支給されます。
特約
主に生命保険において使用される用語で、別の傷病に対する保証や他の保険料払込方法などの特別な保証や契約について、契約者の希望で主契約に付加すること。
たとえば死亡保険を主契約としてがん特約を付加すると、死亡時や高度障害該当時に保証だけでなく、がんを理由とした入院や手術時も保証範囲に追加されます。
あくまで主契約のオプションとしての契約なので、基本的に主契約を解約した場合は同時に特約も解約されてしまいますが、終身保険に付加する疾病入院特約などの一部の特約については、主契約の満了後も継続して契約できる場合もあります。
特約の中途付加
契約中の保険(主契約)に対して、特約を中途付加できる制度のこと。
ただし、全ての保険で利用できるわけではなく、保険会社によって異なります。
保険の用語集:な行・は行
以下は保険で使われるな行とは行の用語です。
年満了
生命保険において、年数で保険期間を設定する契約のこと。
たとえば5年満了契約の場合、契約日から5年間が保険期間になります。
配当金/有配当・無配当保険
生命保険において、予定率と実際の利率の差によって剰余金が発生した場合に、契約者へ分配される剰余分のお金のこと。
予定率は予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つを元に計算されています。
また、契約者配当される設定保険を有配当(の)保険、契約者配当されない設定の保険を無配当(の)保険といいます。
無配当保険については、一般的に配当がない代わりに、有配当保険よりも保険料が低くなっていることが多いです。
払込期月
保険料を払い込む月のことで、契約応当日が属する月の初日から末日までが対象期間となります。
払込猶予期間
契約者が払込期日に保険料を支払えなかった際に、すぐに契約を失効させずに払い込みするまでの一定の猶予期間を与えること。
猶予期間は保険会社や保険料の払込方法によって変わってくるもので、猶予期間内でも払い込みができなかった場合は、契約が失効します。
なお、この期間中に保険金や給付金の支払い事由が発生した場合は、基本的に支払っていない保険料を差し引いた基準で保険金等が支払われます。
払済保険
保険料の払込みを中止して、その時点での解約払戻金をもとに、保険期間をそのままにした保障額の少ない保険(同じ種類の保険)に変更する方法のことをいいます。保険種類などによっては、利用できない場合があります。
引受基準緩和型
通常の保険の加入条件を緩和して、持病や入院歴がある人で加入できるようにした保険のこと。
緩和される加入条件については保険会社ごとに異なるものですが、主に以下の項目が挙げられます。
- 直近(3ヶ月以内等)で医師から入院や手術を勧められている、もしくは入院や手術をする予定がある
- 過去2年以内に病気や怪我による入院または手術を受けたことがある
- 過去5年以内にがんや肝硬変に関する医師の診察(診断・治療・投薬・入院・手術)を受けたことがある
必要保障額
自分や家族が死亡した際に、遺族が必要になるお金から遺族が得られる保険金等を引いた金額のこと。
主に死亡保険で使われる用語で、必要となるお金は結婚や出産などのライフステージによって変わってきます。
そのため、被保険者ごとに必要保障額を計算して、なるべく負担が少なくなるような死亡保険を検討していくことになるのです。
被保険者
保険に加入して給付金等の保証が受けられる人のこと。
復活
保険契約が失効して失効取消可能期間も経過した場合でも、復活可能期間が設けられている場合は、この期間内に再度の告知(診査)と保険料の払い込みをして保険契約を復活できることがあります。
保険契約が復活すると、新たに復活責任開始日が設定され、そこから保証が開始されます。
復旧
生命保険において払済保険や延長保険に変更した後でも、一定期間内であれば保険会社の承諾を得ることで元の契約内容に戻せること。
期間や承諾の内容は保険会社によって異なりますが、主に3年程度の期間で告知(診査)と積立金の不足額を払い込むことになります。
保険期間
保険契約による保証が続く期間のこと。
なお、終身保険などは保証(保険期間)が一生涯続いても保険料を支払うのは一定の年齢までになるなど、保険期間と保険料払込期間は同じ期間にならないこともあります。
保険金
被保険者に支払事由が発生した時に払うお金で、主に死亡時や保険期間の満了時に支払われる場合は保険金と表記されています。
基本的に保険金の受け取りは1回だけで、受け取った後に保険契約は終了します。
保険者
保険の運営主体として給付義務がある健康保険事業や保険会社のこと。
健康保険事業の場合は全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合(組合健保)の2種類が該当します。
保険料/掛け金
契約者が保証の対価として保険会社に支払うお金のこと。
また、保険契約で掛け金にあたるのも保険料となります。
保険料払込期間
保険契約を継続させるために保険料を払い込む期間のこと。
保険料払込方法(回数・経路)
保険料を支払う方法については、1年間に払い込む回数を決める保険料払込回数と、口座振替やクレジットカードなどの払い込む経路を決める保険料払込経路という用語が表記されることがあります。
保険料払込免除
被保険者が保険期間の途中で不慮の事故を原因とした約款に定める身体障害に該当した場合、それ以降の保険料の払い込みを免除する制度のこと。
期間は事故の日から180日以内で、身体障害については主に両耳の聴力を喪失する、片目を失明する状態などが該当します。
保険の用語集:ま行・や行
以下は保険で使われるま行とや行の用語です。
満期
保険契約における保険期間が満了する日のこと。
満期保険金
被保険者が加入している保険の満期まで生存していた時に受け取れる保険金のこと。
保険の種類によっては支払った保険料以上の金額が支払われる場合もあります。
無解約返戻金型(保険)
生命保険の種類の1つで、解約払戻金を無くすこと通常の終身保険と比較すると保険料が低くなる型、または保険のこと。
低解約返戻金型よりも更に保険料は安く済みますが、解約時に得られるものは無くなるので慎重に検討すべき型です。
無選択型(保険)
生命保険の種類の1つで、通常の保険で必要な告知や診査なしで加入できる型、または保険のこと。
ただし、通常の保険よりも保険料は高く、給付される保険金等の上限は低めに設定されています。
また、一定期間内に病気によって死亡した場合、本来であれば死亡保険金が支給されますが、無選択型の場合はその時点で払い込んでいた保険料の相当額が支払われます。
名義変更
各種保険の契約者・受取人の変更や改姓・商号変更等の契約時の情報が変更された際に行う手続きのこと。
ただし、契約者の変更の場合は被保険者と保険会社、受取人の変更の場合は被保険者の同意が必要になります。
免責事由
支払事由に該当している場合でも、保険会社が定めた契約・条件に反するために、保険金や給付金などを支払いできない状況・事情のこと。
免責事由の設定は保険会社によって異なりますが、主に故意または重大な過失によって支払事由を発生させた場合は免責事由になります。
約款(保険約款)
あらかじめ定められた契約の条項のことで、保険においては契約者と保険会社間で行う契約から消滅、保険に関わる権利・義務・条件などを記載した文書等を指しています。
有期払込
保険料の払込方法の1つで、保険料の払い込みが一定の年齢や期間で終了すること。
終身払込と比較すると、必要な期間分のみの保険料で済ませられて、満了時に満期保険金を受け取れるところが良い点ですが、継続時や他の保険から切り替える際には以前よりも保険料が高くなってしまう可能性があります。
勘違いする可能性が高い保険の用語
先に紹介してきた保険用語の中には似たような用語や意味が出てきます。
ここではそんな勘違いする可能性が高い保険の用語を挙げていきます。
公的医療保険と民間医療保険の給付金の違い
医療保険には公的か民間かの違いがありますが、どちらも怪我や傷病に対して保険給付を行います。
この時、医療保険からお金を受け取れるまたは請求する際に「給付金」という表記を用いられるものですが、実際の呼び方については以下の違いがあります。
公的医療保険 | 基本的に療養「費」や出産「手当金」という表記になっています 例外的に埋葬料(葬祭費)・埋葬費(葬祭料)は「料」が使われています | 療養費 入院時食事療養費 傷病手当金 出産一時手当金 など |
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民間医療保険 | 基本的に入院「給付金」や死亡「保険金」という表記になっています | 入院給付金 手術給付金 死亡保険金 満期保険金 など |
たとえば、入院したことで公的医療保険の支払事由を満たした時に給付金と表記されていても、民間医療保険の入院給付金とは関係なく、入院時食事療養費や高額療養費になるのです。
国民年金(基礎年金)・厚生年金・個人年金の違い
年金制度には公的年金である国民年金と厚生年金、民間保険で契約する個人年金の3種類があります。
このうち個人年金については、保険会社の公式サイト等の説明で「年金制度」や「年金が支給される」という表記が用いられることがありますが、公的年金制度における2階建てとは別物であり、公的年金制度の計算や請求に関わるものではありません。
国民年金 (基礎年金) | 国民が必ず加入している年金制度 |
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厚生年金 | 雇用されている場合は加入している年金制度 |
個人年金 | 任意で加入する制度 |
全ての制度で年金という表記が使われていると勘違いすることもあるので注意しましょう。
給付金・保険金・保険料の違い
民間保険では支給されるお金を給付金や保険金と表記していますが、この2つも基本的には明確な違いがあります。
また、保険金と保険料も用語としては似ていることから、勘違いしてしまう可能性もあります。
給付金 | 保険会社が被保険者に対して支払うお金で、基本的に受け取った後も保険契約が続きます |
---|---|
保険金 | 保険会社が被保険者に対して支払うお金で、基本的に死亡時や満期などの1回限りの支給になり、受け取り後は保険契約が解消されます |
保険料 | 被保険者が保険会社に対価として支払うお金 |
受け取りと支払いでは大きく変わって来るので、用語はよく確認しましょう。
保険契約の解除と解約の違い
民間保険では何らかの理由によって保険契約が解消されることがありますが、この時に用いられる「解除」と「解約」はそれぞれ意味が異なります。
また、保障内容が無くなる意味合いが同じ「解除」と「失効」も用語としては別の意味を指しています。
解除 | 保険会社が被保険者の告知義務違反などを理由として、強制的に契約の一部または全部を解消します |
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解約 | 契約者が自分の意思で将来的に契約の全部を解消します |
失効 | 保険会社が被保険者の払込遅延などを理由として、強制的に保障がない状態にします |
失効であれば、失効取消可能期間や復活可能期間があることで、保険契約が戻る可能性がありますが、解除されてしまうと基本的には戻せません。
保険契約の復活と復旧の違い
民間保険では保険契約の状態も元に戻せる制度が用意されていますが、その中でも「復活」と「復旧」は似ている用語ながらもそれぞれ意味は異なります。
復活 | 保険契約における失効取消可能期間が経過したした後でも、期間内に告知(診査)と保険料の払い込みをすることで、保険契約を元に戻せます |
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復旧 | 保険契約の変更後の一定期間内(3年程度)に、告知(診査)と積立金の不足額を払い込むことで、元の契約内容に戻せます |
この用語については表記によって勘違いする状況がそれほど多くありませんが、違う用語ということは頭の片隅に入れておきましょう。
保険の用語を理解しておけば契約前後も困らないで済む
日本における保険制度は大きく分けて公的保険と民間保険がありますが、公的保険については公的医療保険の給付金や公的年金を受け取る際の申請、民間保険は契約に関わる部分で、保険の専門用語や他とは違う使われ方をする用語があるものです。
保険給付に関わる機関や保険会社も説明してくれるものですが、自分でより良い保険を判断するためにも申請や契約時にわからない用語は今回の一覧で調べてみてください。