自動車を持っている方は、自動車保険の利用はほぼ必須と言えます。
しかし、自賠責保険と任意保険について、正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。
自賠責保険と任意保険の違いと特徴、及び自動車保険の正しいおすすめの選び方について紹介をします。
これから自動車を購入する方や既に購入したものの保険について理解を深めたいという方は是非参考にしてください。
目次
車に乗る時に保険は必須?|必須の自賠責保険と自由選択の任意保険
自動車を購入して運転する際に、自動車保険を必須と考えている方も多いのではないでしょうか。
この考え方は正しく、自動車を保持し、運転するためには必ず自動車保険を付保しないといけません。
しかし、必須とされているのは自動車保険のうち自賠責保険だけです。
自賠責保険を利用することで、車検などの手続きが完結され、運転することが法的に認められます。
もう一つの自動車保険である任意保険は、必ずしも利用する義務はありません。
しかし、実際にはほぼすべての自動車保有者が自賠責保険だけでなく、任意保険も利用しています。
自賠責保険が補償する内容だけでは、もしもの時の備えとしては不足する部分が多いため、これを補う目的でほとんどの自動車保有者が任意保険に加入します。
自賠責保険と任意保険の違いについては、その補償範囲と補償の内容を把握することで理解できるでしょう。
自賠責保険|自動車損害賠償責任保険
自賠責保険の正式名称は、「自動車損害賠償責任保険」です。
自賠責保険は、バイクを含む自動車を運転する方に対し、法律により強制的に加入が義務付けられている保険です。
もし自賠責保険に加入することなく自動車を運転していると、法律により罰せられます。
また、自賠責保険の加入は、車検を受ける際の必須要件となっています。
車検は、自動車を保有する所有者に義務付けられています。
24カ月に1回、自動車を運転するにあたって、事故につながる不備はないか、安全に運転できる環境かを点検する作業です。
車検は「道路運送車両法」、自賠責保険は「自動車損害賠償保障法」と、根拠となる法律は異なりますが、連携して法令違反を取り締まる仕組みになっており、車検と自賠責保険はセットで考えられることが多いです。
このため、自賠責保険はどちらかといえば、手続き上必要なものとして認識されているケースが多いです。
保険料や補償期間、補償の内容、契約内容はどの保険会社や代理店を利用しても同じです。
車検を実施する業者がセットで申し込みをしてくれることも多いです。
よほどの事情がない限りは、自賠責保険に関しては判断に困ることはないでしょう。
しかし、いざというときのために自賠責保険で受けられる補償の内容については理解しておきましょう。
自賠責では対人補償のみ
自賠責保険で得られる補償は、対人補償のみとなっています。
自賠責保険の目的は、自動車事故によって被害を受けた被害者を救済することです。
補償される範囲は限定されており、補償の限度額も明確に定められています。
補償対象は、車の運転者と運行供用者(車の所有者など)以外の「他人」と規定されています。
つまり、自動車運転により被害を受けた人のみが補償されることになっており、加害者となる運転者本人のけがは対象外となります。
また、例えば父親が所有者である自動車を息子が運転した際に、誤って父親を引いてしまった場合には、父親は運行供用者に該当するため、父親のけがに対する補償は得られないことになります。
さらに、運転中の過失で壁にぶつかってしまい、運転者本人がけがをした場合も単独の事故となるため、補償の対象外となります。
運転中の自動車同士の衝突により、双方の運転者がけがをした場合は、状況によって補償の可否が判断されます。
事故の原因が、平等に双方にあると認定されたときは、お互いの自賠責保険が適用され、双方が補償を受けられるということになります。
しかし、事故の原因が100%自身の側にある場合は、自身は加害者となり自賠責保険の対象外となってしまいます。
対象は被害者の身体的損害に限定されており、傷害や後遺障害、死亡のみに有効とされています。
最低限の補償しか得られないということを理解しておきましょう。
対物と自損への補償はなく上限も定められている
自賠責保険では、対物補償及び自損への補償はありません。
例えば、自動車事故により生じた相手方の自動車破損に対する補償や、信号や壁など破損させた物に対する物損補償はありません。
また、自動車事故で負った自身の身体障害なども、補償の対象外です。
さらに、自賠責保険は補償の上限額が一定に定められています。
その保険会社で申し込みをしても、以下のような補償内容が一定で定められています。
死亡による損害 | 最高3,000万円 |
---|---|
後遺障害による損害 | 最高4,000万円 |
傷害による損害 | 最高120万円 |
以上の補償内容は、自動車による交通事故の補償としては最低限の内容と考えられます。
実際、交通事故で発生する損害賠償の金額は、以上の補償金額では賄いきれないことが多いのです。
このため、実質的には自賠責保険の内容だけでは、もしもの時に備えるという点では不足しているといわざるを得ません。
したがって、自動車を運転する方のほとんどが、不足する補償を補うために任意保険を利用するというのが一般的になっています。
示談などへの補償はない
自賠責保険には、示談などに対する補償はありません。
示談とは、交通事故の当事者である加害者と被害者が双方の責任割合を決定することです。
当事者の間で決めることが特徴で、裁判所など第三者を介することなくお互いの話し合いで責任関係を決定します。
自動車保険の任意保険には、この示談交渉に対しての補償を含んでいるケースが多いです。
起こしてしまった事故について、示談によって話し合いをしていくのは、簡単なことではありません。
話し合いの展開によっては、実際の責任関係とは異なり、不利な結果に陥ってしまうことも少なくありません。
そこで、任意保険の補償の中には、相手方との示談交渉を代行してくれるような補償もあります。
一方、自賠責保険にはそのような補償はないため、すべて自身で相手方との示談交渉に臨む必要があります。
示談交渉が難航している状況の場合、被害者の判断によって一旦示談交渉を中断し、自賠責保険に損害賠償額を求償することも可能です。
任意保険|対人・対物に手厚い保険
加入が義務付けられている自賠責保険に対し、任意保険は加入の義務はありません。
しかし、自動車やバイクを運転する方のほとんどが任意保険に加入しているのが現状です。
任意保険は、自賠責保険では補償されない部分を補う目的で利用されます。
紹介してきたように、自賠責保険は被害者の人身補償しか対応していません。
上限額も明確に定められており、大きな損害に対しては補償をまかないきれません。
実際、交通事故で発生する損害賠償金額は、自賠責保険で補償される規模を大幅に超過するケースが発生します。
もし大きな損害の事故を発生させてしまった場合、任意保険に加入していないと一生涯をかけても補いきれない負債を背負ってしまう危険があります。
自動車やバイクを保有し、運転する方には、ぜひ任意保険への加入を検討し実行することをおすすめします。
すべての保険会社に共通する7種類の補償
現在は、様々な損害保険会社があり、任意保険のサービスを提供しています。
会社ごとに保険料の設定は特約、申し込み時の手続きのやりやすさなどによって違いがあります。
しかし、基本的には補償の種類や内容には大きな違いはありません。
補償の大きさや程度も自由に設定できる会社がほとんどなので、どの会社を選択しても、最低限度の必要な補償を得られるので、安心です。
以下に、任意保険で補償される代表的な補償内容を紹介します。
補償の種類 | おすすめの設定保険金額 |
---|---|
対人賠償保険 | 無制限 |
対物賠償保険 | 無制限 |
搭乗者傷害保険 | 1,000万円 |
人身傷害補償保険 | 5,000万円 |
自損事故保険 | 1,500万円 |
無保険車傷害保険 | 無制限 |
車両保険 | 時価車両価格 |
対人賠償保険は、事故を起こした際の被害者側の死亡、高度障害などに対する補償になります。
自賠責保険で補償されている部分ですが、上限が明確に設定されています。
死亡や高度障害を相手方に発生させてしまった場合、その損害賠償額は相当の高額になるケースが多いです。
したがって、任意保険で対人賠償保険を付保するときは、無制限の設定をすることをおすすめします。
また、対物賠償保険も高額になるケースが多いです。
誤って住居を破損させてしまった場合や、相手方の高級車を破損させてしまった場合など、かなりの損害賠償額を請求されるケースがあります。
対人と対物賠償保険は、無制限にするのがおすすめで、実際に無制限にしているドライバーがほとんどです。
搭乗者傷害保険は、保険を付保している自動車に乗車している人に対する補償です。
交通事故の責任の所在に関係なく補償されます。
人身傷害補償保険は、保険を付保している自動車に乗車している人に対する補償で、実際に発生した損害額を実損払いで補償できる内容です。
設定の仕方によっては、保有する自家用車以外に搭乗する際にも補償を拡大できるという特徴があります。
自損事故保険は、壁に衝突したり側道に落下したときなど、自損事故で発生する損害に対する補償を得られる保険です。
無保険車傷害保険は、交通事故で被害者に与えた損害を補償するもので、相手方の自動車が無保険車であるか、相手方の保険で補いきれない部分を補填してくれる保険です。
自損事故保険や無保険車傷害保険は、最初から無条件で含まれているケースが多いです。
しかし、人身傷害補償保険と重複する部分となるため、人身傷害補償保険に加入することを条件に、自損事故保険や無保険車傷害保険の加入を外す対応をする保険会社もあります。
車両保険は、保険を付保している自家用車の損害を補償する保険です。
交通事故による自動車の破損、盗難やいたずらによる自動車の損害等に対して補償が受けられます。
車両保険には高額の保険料が課せられることが多いです。
保険料を抑えたい場合は、免責金額を多めに設定するなどの対応をしましょう。
免責金額とは、保険求償をする際に、受け取れる保険金から差し引かれる部分のことです。
例えば、時価車両価格に10万円の免責金額を設定した場合を想定します。
対象の車両の時価が100万円だった場合、その車両が破損したときに受けられる保険金は、90万円になります。(時価車両価格100万-免責金額10万円=90万円)
特約を活用してさらに手厚い補償を得る
以上に紹介したように、任意保険には以上の7種類の保険について、どの保険会社を選択しても付保可能となっています。
しかし、自動車の任意保険にはこれだけではなく、各保険会社によって設定されている様々な特約が用意されています。
会社ごとに取り扱いが異なる為、欲しい特約が明確に決まっている場合は、その特約を扱っている損害保険会社を選択して利用しましょう。
以下に、代表的な特約の種類を5種類紹介します。
- ロードサービス特約
- 弁護士費用特約
- 個人賠償責任特約
- 自転車傷害特約
- 運転者限定特約
ロードサービス特約は、自動車に関するもしもがあった時の補償を得られるタイプの特約です。
事故により車両が運転できなくなった時の移送にかかる費用を補償してくれます。
また、さらに運転中のパンクやガソリン不足によるガス欠、キーの車両内へのとじ込みなど、幅広い保証が受けられるのが特徴です。
さらに最近では、自宅の遠方で事故を起こしてしまった場合に備えて、周辺施設への宿泊費用や、自宅まで帰る際の交通費なども補償に含まれている特約も増えてきています。
弁護士費用特約は、加害者と被害者との交渉が難航したときに利用する、弁護士にかかる費用を補償してくれる特約です。
交通事故では、加害者と被害者双方での話し合いで示談に達せられないケースは意外に多く、訴訟に発展するケースも少なくありません。
そのような状況になると、弁護士に相談をして解決に持っていくケースが多くなります。
弁護士費用は意外に高額になるケースが多いので、補償を受けられるのは安心だといえるでしょう。
保険料の割に安心の補償が得られるので、意外に人気がある特約の1つです。
個人賠償責任特約は、自動車事故に限定することなく、日常的に発生する事故によって、自身や家族が他人をケガさせたり他人のものを破損させることを補償してくれる特約です。
自動車の運転だけでなく、生活におけるすべてのトラブルに対応できるのが魅力です。
自転車傷害特約は、自転車を運転している際の障害に備える特約です。
運転者限定特約は、保険を付保している自動車に対する補償が得られるケースを限定する特約です。
「本人だけ」、「夫婦だけ」、「家族だけ」といった、補償に対象を限定することで、保険料負担を割引してもらえる特約になります。
以上のような特約は、損害保険会社によって取り扱いの有無や内容に違いがあるので、こだわりの特約がある場合は、しっかりと保険会社ごとのサービス内容を比較して、納得のできる商品を選択するようにしましょう。
JAFと保険のロードサービス
任意保険の特約の中に、ロードサービス特約があることは前述の通りです。
任意保険のロードサービス特約と併せて、JAFのサービスを利用することで、もしもの時に備えて、より充実した補償を得られます。
JAFとは、日本自動車連盟が正式名称の団体で、自動車やバイクなどを運転する方々に向けた様々なサービスを提供する団体です。
JAFと聞くと、ロードサービスの専門業者という印象を持つ方も多いかもしれません。
しかし、実はJAFはロードサービスに限らず、他にも様々なサービスを提供しているので、会員になっている方はそのサービスを最大限に活用しましょう。
例えば、パーキングエリアの店舗で割引が受けられたり、JAF提携の業者のサービスを利用する際に優遇が受けられるなどの特典があります。
会員になるには、年会費を支払う必要があります。
通常、1年の会員になるには6,000円必要ですが、一括で複数年の会費を支払うことで割引が受けられるので、確実に複数年会員になる方は、一括支払いを選択するとお得です。
JAFの会員になると、ロードサービスの面でも大きな優遇が受けられます。
損害保険会社の任意保険と組み合わせることで、より大きな補償が得られます。
例えば、任意保険のロードサービス特約だけなら利用回数が決まっているケースが多いのですが、JAFとの連携をすることで、利用回数の制限がなくなるケースがあります。
また、レッカーでの自動車移動距離の補償に制限があるケースが多いのですが、JAFと組み合わせることで、その補償の距離を延長できることがあります。
さらに、JAFは車両が対象ではなく、会員に加入した人が対象となります。
したがって、JAFに加入した人が便乗している自動車や、会社の乗用車などでトラブルがあったとしても、JAFのサービスを活用できます。
ロードサービスにおけるJAFと任意保険との連携優遇は、損害保険会社によって異なるので、JAFとの連携を重視したい方は、任意保険を選ぶときに考慮するようにしましょう。
一日保険|単発での利用におすすめ
任意保険は、一般的には1年間の契約をするケースが多く、他には2年や3年契約など長期の契約も可能です。
しかし、任意保険には年単位の契約だけではなく、「一日保険」と呼ばれる、非常に短い期間で補償を得られるというタイプの保険商品があります。
一日保険は、いくつかの損害保険会社が取り扱っているので、利用する際には十分に比較して自分の目的に合った商品を選択しましょう。
一日保険を利用するケースでは、以下のような状況が考えられます。
- 実家に帰省する際に、両親の自家用車を運転する
- 友人と遠出をする際に、友人の自家用車を交代で運転する
- 友人知人の自家用車を借りて運転する
一日保険は、利用条件が厳格に定められている為、保険を付保しても補償が得られないケースもあるので、しっかりと状況を確認する必要があります。
例えば、両親の自家用車を運転する際、両親が契約する保険に運転手が運転条件に含まれているケースなどは、一日保険の補償の対象外となります。
また、レンタカーや企業が保有する社用車を運転する際に一日保険に加入しても保障は得られません。
一日保険を利用する手続きはとても簡単になっています。
最寄りのコンビニで情報端末を使った保険の付保が可能です。
また、スマートフォンから簡単な手続きによる完結も可能です。
申し込みが終了し、手続きが完了した時点から補償がスタートするので、急ぎで手続きをしたいという方にもおすすめです。
一日保険の内容は、保険会社によって異なりますが、24時間の補償で800円の保険料で加入できるタイプなどがあります。
交通事故で発生する損害賠償の金額は、非常に高額になってしまう恐れがあります。
少しの運転だから大丈夫だろうと、保険を付保することなく運転してしまうと、思わぬ事故を起こした際に取り返しのつかないことになる危険があります。
保険の対象から外れてしまうケースで運転をしなければならない場合は、一日保険の利用を検討してみましょう。
自動車任意保険を選ぶポイントとは|もしもの備えと過剰な補償の見直し
以上紹介してきたように、自動車任意保険への加入は必須ではないものの、実質的に加入を推奨されている保険です。
主な保険の種類が7種類と、各種特約がそれぞれ存在する中で、運転者は自由に加入する保険の内容を選択できます。
自動車任意保険には入っておいた方が良いという中で、どの種類の保険にどの程度の補償額で加入したら良いのか、判断が難しいと感じているという方も多いのではないでしょうか。
判断の仕方は人それぞれで、考え方も様々なものがありますが、運転の危険性を考慮すると、一定以上の補償は確保しておいた方が無難です。
一般的に、任意保険に加入する際に考えるべき選択のポイントについて、以下に7項目紹介します。
- 対人賠償は無制限がおすすめ
- 対物賠償も無制限の方が無難
- 重複する補償がないか見直す
- ライフスタイルを考慮
- 車両保険は外すことも考える
- 付帯サービスの内容と有償・無償をチェック
- 割引サービスを活用する
もしもの時に備えて手厚くすべき部分に厚い補償を付保するのはもちろんのことです。
しかしそれだけではなく、利用の状況や他の補償商品の活用も勘案して、過剰な補償を削除するという考え方も持っておきましょう。
対人賠償は無制限がおすすめ
任意保険のうち、まず対人補償は無制限を選択することが推奨されています。
これまで紹介してきたように、交通事故で相手方に被害を与えた場合、その損害賠償の金額は非常に高額になる危険があります。
死亡や高度障害など、場合によっては億単位の賠償責任を負う可能性も少なくありません。
もし億単位の損害賠償が発生するような事故を起こしてしまったとき、対人賠償の補償を得ていなかったら、一生かけても返済できない重過ぎる負債を背負うことになってしまいます。
安全運転を心がけていたとしても、状況によっては大事故の加害者になってしまう可能性があるのが自動車運転です。
「自分は大丈夫」と思わず、もしもの時に備えるため、任意保険の対人賠償は無制限を選択しておくのが無難な考え方と言えます。
対物賠償も無制限の方が無難
対人賠償に次いで、手厚くしておくべき重要な補償が、対物賠償です。
対物賠償も可能な限り上限を設けず無制限にしておくべきです。
交通事故によって損害賠償を背負う可能性を考慮して、対人賠償では無制限を選択することで、せいぜい相手方の車両の補償分程度をまかなえたら良いのではないかと考える方も多いかもしれません。
たとえ相手方の自動車が高級車だったといえども、せいぜい1,000万円の対物賠償の補償を付保しておけば十分だと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、交通事故は車両同士の衝突だけではありません。
例えば道路に設置されている電柱に衝突して破損させてしまうかもしれません。
電柱は公共物であるため、自治体に対して賠償金を支払う必要があります。
また、電柱を破損させたことから派生して、電力供給が滞ったことにより、思わぬ賠償を負担するケースもあり得ます。
他の例としては、店頭に車両を激突させてしまうケースがあります。
店頭を破損させてしまった場合、その店舗の設備や陳列している商品の賠償責任を負うケースもあり得ます。
店舗の備品には相当高価なものも存在することもあるので、想定以上の賠償責任を負ってしまうこともあるかもしれません。
以上のことから、対物賠償の補償も十分手厚くしておくべきです。
最低でも3,000万円、可能であれば無制限にしておいた方が無難です。
重複する補償がないか見直す
以上のように、対人補償と対物補償は手厚くしておくべきです。
補償を手厚くすることに伴い、保険料が高くなってしまうことも否めません。
そのため、他の補償で削れる部分がないか、検討するのが効率の良い保険付保の考え方です。
補償が重複している部分がないか、検討をして過剰な部分はカットしてみましょう。
例えば、搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険は、補償内容が重複する部分があります。
両者の違いをしっかりと理解して、重複している部分がないかチェックしましょう。
もし重複部分があるなら方法を解約することも検討してみてください。
搭乗者傷害保険は、契約している車両での事故の搭乗者への障害を補償範囲としています。
一方、人身傷害補償保険は、搭乗者傷害保険が補償する部分に加え、他人の自家用車やタクシー、バスに乗っている際の事故で負った障害も補償範囲になります。
さらに、歩行中の事故における補償も含まれます。
搭乗者障害保険と人身傷害補償保険は重複するケースが多いので、まずチェックしてみましょう。
他に、自動車任意保険以外でも一般的な傷害保険に加入している場合は、その補償範囲をチェックしてみることをおすすめします。
任意保険は、保険会社によってはパッケージでセットでの提供をしているものがあるため、重複している部分をカットできないケースもあります。
保険会社ごとの商品の特徴を理解して、効率の良い付保ができるように対応しましょう。
ライフスタイルを考慮
重複している部分をカットすることに加え、自身のライフスタイルを考慮して、不要な部分は減らすことも検討してみましょう。
例えば、人身傷害補償保険は、自身だけでなく家族の障害にも対応してくれる効率的な保険商品ですが、家族がいない独身者の場合にとってはあまりメリットがありません。
独身者であれば、生命保険や医療保険に入っていれば補償としては十分だと考えられる方も多いかもしれません。
自動車関連以外の傷害保険に入っている方も多いでしょう。
人身傷害補償保険は、非常に高範囲の補償を得られるので、魅力的な商品ではありますが、独身など補償を広げる必要性が低い場合は、手厚くしなくても支障はないかもしれません。
逆に言えば、家族が多い方にとっては、家族全員を補償してくれる人身傷害補償保険を最大限に活用することには非常にメリットがあります。
家族構成や運転の頻度など、ライフスタイルをよく考えて、利用する保険商品の適切な選択が重要です。
自身で判断することが難しい場合は、保険代理店などに相談したり、インターネットの口コミ情報などを参考にして、自身にとって最適な選択肢を選びましょう。
車両保険は外すことも考える
車両保険は、事故により自身が保有する車両が破損した場合などの補償を得られる保険です。
また、交通事故に限らず、例えば自然災害による車両の破損、駐車中に子供などがいたずらすることで破損した場合など、原因に関係なく車両の修理にかかる費用をカバーしています。
自動車の修繕費は、場合によってはかなり高額になるケースが多いため、状況によっては非常に頼りになる保険といえます。
しかし、状況によっては補償金額を下げても問題なく、あるいは付保自体をなくしても問題ないケースがあるでしょう。
例えば、高価で人気のある新車を購入し、長期間使用したいと考えている場合は、車両保険は有用な保険といえます。
しかし一方で、中古車を購入し、車両に対して特にこだわりを持っていない場合は、車両保険はそれほど重要でないと判断できるでしょう。
また、任意保険はその補償範囲が非常に限定的であるという特徴があります。
事故により、自身の車両が破損したため、その修理をした際の修理費を車両保険でカバーするというのが一般的な活用方法となります。
しかし、補償されるのは契約車両の修理費用だけなので、他の任意保険に比べて有用性が低い保険といえるでしょう。
自動車保険料は利用するほど高額になる
また、自動車保険は、利用するほど更新時に保険料が高額になるのが一般的です。
これはすべての任意保険に該当することで、さらに特定の保険を活用することで、全体的に保険料が高額になっていくケースが多いです。
例えば、車両保険を付保している自家用車に、自分の子供がいたずらを頻繁にして、その修理費を毎回保険でカバーしている場合、翌年以降の任意保険更新時に、車両保険を含め他の補償部分の保険料も高くなることがあります。
例えば中古車の車体に傷が発生した場合、それほど致命的でなければ放置するという方も多いでしょう。
翌年以降の保険料が高額になることを避けつつ保険による補償を利用しないのであれば、最初から不要な保険は付保しないというのが効率の良い考え方といえるのではないでしょうか。
付帯サービスの内容と有償・無償をチェック
任意保険には、メインの補償内容に加え、付帯サービスや特約などが充実しているものも少なくありません。
メインの補償内容及び保険料への注目はもちろん重要ですが、加えて付帯サービスの内容にも気を配るようにしましょう。
特に注意したいのが、ロードサービスに関するサービスと、弁護士費用を補償するサービスです。
ロードサービスに関するサービスは、自家用車を運転している以上、ぜひ得ておきたい補償といえます。
運転中のトラブルなどで動けなくなった時など、いざという時に大変頼りになります。
しかし、前述のようにJAFのサービスを活用することで一定の補償が得られるなど、任意保険以外にも同様の補償を得られるものもあります。
また、保険会社によっては有償で追加申請するものだけでなく、最初から無償で補償が付帯しているケースもあります。
さらに、交通事故を起こしてしまった際に、被害者側との交渉において弁護士に相談をするケースは意外に多いです。
法的な対応をしたことがない方がほとんどと考えると、弁護士補償のサービスに加入していると安心です。
各種特約などの付帯サービスの内容をよくチェックし、さらに有償で申し込むのかあるいは無償で無条件で付保されているのか、把握しておきましょう。
割引サービスを活用する
任意保険の保険料を抑えたいと考える方におすすめなのが、各保険会社がそれぞれ独自で導入している割引サービスを活用する方法です。
割引サービスの内容は、保険会社により様々用意されています。
特に多いのが、無事故期間によって保険料が割引されるという仕組みです。
また、車両の走行距離が短いほど、翌年以降の保険料が軽減されるというタイプも多いです。
さらに、保険会社によっては年齢により補償範囲を限定していることが多いです。
その中でも、細かい年齢区分を設定している会社があります。
例えば、26歳以上を一律で区分していない会社がある一方で、別の会社では26歳以上、30歳以上、35歳以上など細かく年齢区分を設定している会社もあります。
一般的に26歳以上の区分しかない会社より、35歳以上の細かい区分を設定している会社の方が、保険料が低くなることが多いです。
自動車保険の加入方法|代理店型とダイレクト型
自動車保険の任意保険に加入するには、損害保険を扱っている保険会社に申し込みをする必要があります。
損害保険会社に申し込みをする方法には、現在では主に以下の2種類の方法があります。
- 代理店型
- ダイレクト型
代理店型は、利用者が直接保険の代理店に赴き、保険の契約を行う仕組みです。
一方、ダイレクト型は、電話などで直接保険会社とやり取りを行い、任意保険の契約を行う仕組みになります。
ダイレクト型は、昔は電話がもっぱらの連絡手段でしたが、近年はインターネットで申し込みをする形式が主流になりました。
インターネットで各種情報を検索しながら手続きが可能で、なおかつ時間の融通が利く方法として重宝されるようになりました。
代理店型|代理店で相談
代理店型は、直接損害保険会社に申し込みをするのではなく、保険の取り扱いを行っている代理店を介して任意保険の申し込みをする形式になります。
代理店型のメリットは、代理店側での担当者がついてくれて、相談に応じてくれるという点が挙げられます。
自動車保険に関して全く知識がない状態でも、丁寧にわかりやすく、かつ対面で説明をしてくれます。
保険の契約や補償内容について不安を感じている方にとっては非常にメリットがあります。
また、実際に事故を起こしてしまった場合に、代理店の担当者が現地で直接対処方法を指示してくれるような場合があります。
初めて任意保険の契約をする場合など、不安を持っている方や疑問点などを直接担当者と話しながら解決していきたい方に向いています。
一方、代理店型のデメリットとしては、代理店に連絡を取り、来店予約をして店頭に足を運ばなければならないという点が挙げられます。
保険の内容について理解を持っている方にとっては、来店しなければならないというのはデメリットになります。
また、契約者と保険会社の間に代理店が入ることで、余分なコストがかかり、保険料が割高になってしまうことが多いです。
ダイレクト型|電話やネットで直接保険会社に申し込み
ダイレクト型は、代理店などの店頭に赴くことは不要で、電話あるいはインターネットで保険の申し込みをする形式になります。
ダイレクト型を利用するメリットとしては、代理店のような仲介の業者の存在がなくなるので、コストを抑えることにつながり、保険料を抑えられるケースが多いです。
また、来店をする必要がないため、どこからでも契約を開始できる便利さがあります。
インターネットの利用をする場合だと、場所だけでなく、いつでも申し込み手続きを開始できます。
さらに、任意保険の商品を検索機能などで広範囲の情報源から探せるのもインターネットの便利な点です。
ダイレクト型のデメリットとしては、代理店型のように、担当者の方と話をしながら手続きができないので、最終的にはすべて自分で判断しないといけない点が挙げられます。
自動車保険に関する知識が乏しい初心者の場合はあまりおすすめできません。
保険商品に関する疑問や不明点があったとしても、自身で調べて解決しないといけません。
しかし、近年は損害保険会社の中でも、問い合わせ窓口のようなサービスが充実してきているため、保険商品についての疑問点などがあった場合でも、以前より解決がスムーズになっています。
自動車保険の保険料が決まる仕組み
自動車保険のうち、任意保険の保険料は、契約する保険商品の内容や補償の大きさによって決まります。
しかし、実は保険料は保険商品の内容だけで決まるのではなく、他に要因があります。
同じ保険内容の契約をしようとしても、申請する人の条件によって保険料が変動するのが一般的です。
任意保険の保険料を決定する要因について、以下に3項目紹介します。
- 自動車の条件
- 運転者の条件
- 契約者の過去の事故歴
自動車の条件
保険を付保する自動車によって、保険料は変動します。
主に、自動車の以下の条件によって、保険料が決まるとされています。
- 車種
- 型式
- 付保台数
- 走行距離
車種とは、普通自動車・軽自動車・自動二輪車などの区分を言います。
車種によって、事故のリスクには違いがあるので、伴って保険料にも差が生じます。
型式とは、自動車の性能や装置の搭載内容、構造によって分類される区分のことです。
普通乗用車・小型乗用車の場合は1~17のクラス、軽四輪自動車の場合は1~3のクラスに区分されています。(2019年12月31日までは1~9までの区分がありました。)
クラスの数値が高いほど性能が高いことになり、保険料が高くなります。
契約者に対して保険を付保している台数によっても、保険料の金額に影響を与えます。
付保台数が10台以上を「フリート契約」、10台未満の場合を「ノンフリート契約」と区別し、法人がフリート契約、個人がノンフリート契約に当てはまるケースが多くなっています。
走行距離は、保険を付保しようとする車両がそれまでに走行した距離のことを指します。
走行距離が大きくなればなるほど車両の異常が発生したり、性能が落ちる可能性が高くなるため、保険料が高くなる傾向にあります。
運転者の条件
契約を行う運転者の条件によっても、保険料は影響を受けます。
主に以下の3項目が保険料に影響を与える要素です。
- 年齢
- 運転免許証の色
- 運転者の範囲
運転者の年齢による区分は、保険会社により設定が異なります。
最も多いのが、「全年齢補償」、「21歳以上補償」、「26歳以上補償」の3つの分類が用意されているケースが多くなっています。
補償する年齢の範囲が短いほど保険料が安くなっていく傾向は、どの保険会社も同様です。
運転免許証の色によっても、保険料は変動します。
一般的に、5年間無事故無違反のゴールド免許の場合は、事故発生のリスクが低いと判断され、保険料が安くなる傾向にあります。
逆に、免許取得から3年以内であるグリーン免許の場合は、保険料を下げてもらうのは難しいでしょう。
さらに、運転者の範囲によっても保険料は変動します。
契約者一人だけの場合よりも、その家族も補償に含める場合のほうが、もちろん保険料は高くなります。
契約者の過去の事故歴
契約者の過去の事故や違反歴も、保険料を変動させる要因になります。
自動車保険には、過去の事故や違反歴に応じて保険料の割引・割増を決める「等級制度」と呼ばれる制度があります。
ノンフリート保険契約にのみ適用される制度であるため、「ノンフリート等級別料率制度」という別名もあります。
等級は1等級から20等級の20段階用意されています。
初めて自動車保険を利用するときは、6等級からスタートするのが一般的です。
そのあとは、運転する中で発生した事故の件数や事故及び違反の内容によって等級が変わっていきます。
無事故無違反の期間が続けば、等級の数値が上がっていき、20に近づいていきます。
等級が上がれば上がるほど、任意保険の割引率が高まっていき、逆に等級が下がっていくほどに保険料の割増率が上昇していくということになります。
保険商品の探し方|インターネットの一括見積サービスが便利
代理店型でなく、自分で保険会社と直接やり取りをする、ダイレクト型を選択した場合、まずは自分でどの保険商品を利用するか、あるいはどの損害保険会社と契約をするか、決める必要があります。
インターネットの活用により、ネット上に公開されている情報の中から、様々な検索条件を駆使して、自分の希望に合う保険商品を便利に探せるようになっています。
しかし、一般的なポータルサイトから保険商品を探すのは意外に難しいものがあります。
広告サイトもたくさん表示され、特定の保険会社のサイトでは、同社の保険商品しか見比べられなくなってしまいます。
そこで、インターネットによる任意保険の契約をする際におすすめしたいのが、インターネットの一括見積サービスです。
任意保険を専門に扱っているサイトでは、複数の損害保険会社に一括で保険の見積依頼ができるサービスを用意しているケースがあります。
申請者の年齢や性別、運転歴や過去の事故・違反歴など所定の情報を専用フォームに入力し、送信するだけで、まとめて複数の保険会社へ情報が伝達され、見積をしてもらえます。
各保険会社から、詳細な見積情報が届くので、その中から自分の希望条件に最も適合する商品が選択できます。
無料で利用できるケースがほとんどなので、これから保険商品を探そうと考えている方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ|自分に合った自動車任意保険を選ぼう
以上、自動車の自賠責保険と任意保険について解説をしてきました。
自賠責保険は、基本的にどこで申し込んでも同じ条件で契約をすることになります。
一方、任意保険には様々な補償内容があり、自分に必要な補償の取捨選択が可能となっています。
任意保険の保険料は、補償内容だけでなく、利用者の条件や車両の条件などかなり細かい条件によって変動します。
申込に不安がある方は、代理店を通じて申し込みをするのが安心ですが、コスト面や利便性を考えると、インターネットを利用したダイレクト型での申し込みが魅力的です。
一括見積サービスなどを駆使して、自分に合ったおすすめの保険商品を見つけてみてください。