保険の統計を知れば必要な保険が分かる!今の時代に選ぶべき保険とは?
現在日本では、90%近い世帯が生命保険に加入しています。保険にかける金額は減少傾向ですが、手頃な定期死亡保険や医療保険の人気は高まっています。無理のない範囲で、死亡・入院・手術への備えをするのがおすすめです。
家族構成やライフステージによって必要な保険は変わるため、都度の見直しも重要です。
目次
保険件数の実態|統計を読み解けば時代の流れが分かる
保険は時代の変化に合わせて次々と新しい商品が登場し、多様化してきています。
自分に必要な保険は何か、自分の家庭に必要な保険は何かを検討するのは重要です。
保険を選ぶ方法は数多くありますが、まずは今世の中の保険事情がどのようになっているのかを知ることで、保険についての理解が深まるでしょう。
統計の結果を通して、世間ではどのような保険が選ばれているのかを紹介します。
全世帯の90%近くが生命保険に加入している
「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は88.7%でした。
日本は公的年金や公的医療保険の制度が整っているものの、備えとしては十分とは言えません。
多くの人が民間の保険を必要としており、また利用していることが分かります。
「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター」より
終身死亡保険│1,439,211件│特に若い世代で契約数は減少中
2020年4月〜2021年3月期の生命保険協会年次統計によると、この期間に『終身死亡保険』に加入した件数は1,439,211件(全体の12.7%)です。
過去の統計を見てみると、契約件数は近年増加していたものの、2019年度に大幅に減少しています。
これは、社会情勢の変化により、保険の対面販売の自粛が行われたことも大きく影響しているものと考えて良いでしょう。
「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険への加入方法としては対面販売が最も多いのが分かります。
通販型の保険が増えている印象を持っている人も多いと思いますが、現状では6.5%にしか過ぎないのです。
特に月々の支払金額も大きく長期の契約となる終身死亡保険は、対面販売で十分に納得してから加入したいと考える人が多いのかもしれません。
平成30年調査 (平成25〜30年に加入) | |
---|---|
生命保険会社の営業職員 | 53.7% |
保険代理店の窓口や営業職員 | 17.8% |
通信販売 | 6.5% (ネット販売は3.3%) |
また生命保険協会年次統計を2017年度から見ていくと、特に若い世代では新規契約件数は2017年度から減少を続けています。
厚生労働省の「人口動態統計」を見ると、近年婚姻数は減少し続けており(2019年は令和婚ブームにより増加)家庭を持たない選択をする人が増えています。
終身死亡保険は『残された家族の生活を守る』という意味合いが強く、単身世帯には必要性が高くないと言えるでしょう。
終身死亡保険によって保険金を残す必要がないと考える若い世代が増えているのかもしれません。
とは言え、終身保険は保障が生涯続く安心があります。
いつ何時、万が一の事態が起こったとしても、遺族に保険金が残せます。
子どもが独立したなどで大きな死亡保障が必要なくなれば、解約して解約返戻金を受け取るのも可能です。
老後資金にも充てられるため、貯蓄としての側面も持っています。
終身死亡保険の保険料は加入した年齢によって大きく変わるため、自身の状況に合わせて選択すると良いでしょう。
「生命保険事業概況│年次統計・2017年度~2020年度│保険種類別契約高」より
「厚生労働省│令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より
参考:日本経済新聞│生保14社、4~9月期の新契約42%減収 対面営業自粛で
「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター」より
定期死亡保険│1,837,195件│保険料が手頃で若い世代から支持
同様に、2020年4月〜2021年3月期に『定期死亡保険』に加入した件数は1,837,195件(全体の16.2%)です。
定期死亡保険も、終身死亡保険と同様に2019年度に契約数は減少しています。
一方で、2018年度までは終身死亡保険が定期死亡保険を大きく上回っていたのですが、2019年度・2020年度と連続して定期死亡保険が終身死亡保険を上回りました。
年代別に見てみると、定期死亡保険は特に若い世代での人気が高まってきています。
定期死亡保険は掛け捨て型の保険で、手厚い保障に対してリーズナブルな保険料が特徴です。
子どもが小さい間などは、一般的には年齢も若く、収入もそれほどない場合が多いでしょう。
その反面、高額な保険料は払えないけれど万が一の場合の保障が最も必要な期間でもあります。
保険料が手頃で必要な期間にだけ高額な死亡保障を得られる定期死亡保険は、子育て世代に適した保険です。
保険の対面販売自粛で終身死亡保険が大幅に減少したことに比べると、定期死亡保険の減少はそれほどではありません。
ネット保険が普及してきており、保険料が安く手軽に入れる定期死亡保険が、特に若い世代に人気が高まっているとも考えられます。
終身死亡保険 | 定期死亡保険 | |
---|---|---|
2020年度新規契約件数 | 1,439,211件 | 1,837,195件 |
2019年度新規契約件数 | 1,936,624件 | 2,202,475件 |
2018年度新規契約件数 | 39,838,974件 | 24,781,464件 |
2017年度新規契約件数 | 38,263,687件 | 22,229,009件 |
終身死亡保険 | 定期死亡保険 | |
---|---|---|
2020年度新規契約件数 | 247,671件 | 467,545件 |
2019年度新規契約件数 | 289,311件 | 583,264件 |
2018年度新規契約件数 | 350,945件 | 624,964件 |
2017年度新規契約件数 | 434,033件 | 485,485件 |
終身死亡保険 | 定期死亡保険 | |
---|---|---|
2020年度新規契約件数 | 281,348件 | 486,170件 |
2019年度新規契約件数 | 353,089件 | 570,443件 |
2018年度新規契約件数 | 451,875件 | 679,611件 |
2017年度新規契約件数 | 493,560件 | 552,673件 |
終身死亡保険 | 定期死亡保険 | |
---|---|---|
2020年度新規契約件数 | 231,504件 | 402,086件 |
2019年度新規契約件数 | 314,077件 | 454,329件 |
2018年度新規契約件数 | 444,480件 | 595,646件 |
2017年度新規契約件数 | 447,223件 | 446,713件 |
終身死亡保険 | 定期死亡保険 | |
---|---|---|
2020年度新規契約件数 | 218,727件 | 216,118件 |
2019年度新規契約件数 | 328,438件 | 235,496件 |
2018年度新規契約件数 | 475,182件 | 311,836件 |
2017年度新規契約件数 | 438,208件 | 231,226件 |
終身死亡保険 | 定期死亡保険 | |
---|---|---|
2020年度新規契約件数 | 579,162件 | 125,706件 |
2019年度新規契約件数 | 812,046件 | 122,570件 |
2018年度新規契約件数 | 1,232,163件 | 168,869件 |
2017年度新規契約件数 | 1,172,393件 | 131,518件 |
「生命保険事業概況│年次統計・2017年度~2020年度│保険種類別契約高・年齢階層別・男女別統計表」より
養老保険│299,796件│金利が下がり特に60代以上の人気が低下
『養老保険』の新規契約件数は299,796件(全体の2.6%)です。
養老保険は貯蓄性が高く、死亡保障としての面も貯蓄としての面も合わせ持っています。
満期までの間に万が一の場合があれば死亡保険金が受け取れ、満期まで支払事由がなければ満期保険金が受け取れるのです。
養老保険の満期保険金は、支払った保険料の総額よりも受け取る額の方が多くなる場合もあります(多くの養老保険では支払総額を下回ります)。
月々の支払額は高めですが、死亡保障を付けつつ貯蓄ができるのは養老保険ならではです。
老後の生活費の備えとして選ぶのに適しているでしょう。
しかし、養老保険の新規契約件数は2018年度を境に、かなりの勢いで減少しています。
以前は人気の保険でしたが、最近では金利が下がっていることで養老保険の魅力もダウンしているものと考えられます。
実際に、養老保険の新規契約数が保険全体に占める割合を見てみると、2017年度は8%なのに対して、2020年度では2.6%へと大きく落ち込んでいるのです。
保険業界全体の契約数が大幅に減少している以上に、養老保険の注目度は低下していると考えてよいでしょう。
特に60代以上の養老保険の新規契約件数は、2017年度の208,815件と比べて2020年度は22,887件と10分の1近くにまで減少しています。
2017年度では60代以上が新規契約の主となっていますが、2020年度では新規契約数のほとんどが20〜40代となっているのです。
2020年度 新規契約件数 | 2019年度 新規契約件数 | 2018年度 新規契約件数 | 2017年度 新規契約件数 | |
---|---|---|---|---|
合計 | 299,829件 | 617,134件 | 1,078,331件 | 1,048,434件 |
20代 | 68,328件 | 109,191件 | 188,396件 | 181,169件 |
30代 | 70,816件 | 117,610件 | 183,675件 | 180,212件 |
40代 | 72,726件 | 134,583件 | 197,595件 | 193,072件 |
50代 | 42,319件 | 90,173件 | 141,287件 | 134,230件 |
60代~ | 22,887件 | 108,340件 | 216,592件 | 208,815件 |
一方で、新規契約金額を見てみると2017年度と2020年度共に契約金額の大半は20〜40代です。
養老保険には、『円建て』の他に『外貨建て』のものもあります。外貨建ては円建てと比べると予定利率が高いため、解約返戻金が高くなります。
そのため、貯蓄要素を求める比較的若い世代からの需要は一定数あるとも考えられるでしょう。
しかし同時に注意をしなければならないのが、為替の影響です。
外貨建ての養老保険は、為替の影響を受け元本割れをしてしまうケースもあります。そのリスクを十分に理解した上で選択しましょう。
2020年度 新規契約金額(百万円) | 2017年度 新規契約金額(百万円) | |
---|---|---|
合計 | 1,452,853 | 3,908,501 |
20代 | 302,415 | 790,323 |
30代 | 348,775 | 826,910 |
40代 | 371,803 | 837,195 |
50代 | 215,247 | 506,005 |
60代 | 140,851 | 477,207 |
「生命保険事業概況│年次統計・2017年度~2020年度│保険種類別契約高・年齢階層別・男女別統計表」より
医療保険│3,197.049件│1件当たりの契約金額が大きく減少
『医療保険』の新規契約件数は3,197.049件(全体の28.2%)でした。
2017年度は全体の21.3%であったことから、医療保険は以前より重視されている傾向にあるのが分かります。
医療保険は、病気やケガによる入院や手術などに備える保険です。
病気のリスクは年齢と共に高くなりますが、事故やケガなどはいつ起こってもおかしくありません。
保険の中でも、どの年代にも必要な保険と言えます。
医療保険のニーズは年々増加していますが、他の保険と同様に新規契約件数は2019年度に大幅に減少しています。
これは対面販売の自粛の影響がある他、経済状況が不安定となったことで保険にかけられる金額が減少したという側面もあるかもしれません。
1件当たりの契約金額を計算すると、2017年度は約98,000円であったものが2020年度は約42,000円へと減少しています。
家計の見直しの結果、より必要な保障に限定した保険や、安価なネット保険の人気が高まっているのかもしれません。
新規契約件数 | 新規契約金額 (百万円) | |
---|---|---|
2020年度 | 3,197,049件 | 135,390 |
2019年度 | 3,505,811件 | 119,037 |
2018年度 | 38,509,035件 | 3,457,074 |
2017年度 | 36,776,259件 | 3,592,824 |
また令和元年度「生活保障に関する調査」によると、疾病入院給付金の支払われる生命保険の加入率は73.1%です。
これを医療保険の加入率ととらえると、73.1%の人が医療保険に加入していると考えられます。
年代別の医療保険への加入率を見てみると、健康への不安が増しライフステージも変わる30代から加入率は急増しているのが分かります。
全体 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | |
---|---|---|---|---|---|---|
加入率 | 73.1% | 48.0% | 72.0% | 80.1% | 79.0% | 75.9% |
同じ調査では、「自分自身がケガや病気をすることについての不安がある」と答えた人は89.6%でした。
病気やケガに対する不安への備えとして、医療保険は重要な役割を果たしているのが分かります。
「生命保険事業概況|年次統計・2017年度~2020年度|保険種類別契約高」より
「令和元年度 生活保障に関する調査│生命保険文化センター」より
給付金件数のランキングから見た保険の重要性(全体18,557,834件)
契約件数や契約金額の他にも、生命保険事業概況として給付金件数のデータが毎年公表されています。
給付金件数を見れば実際に支払われている件数が分かるため、必要な保険を検討する際の参考になるはずです。
給付金件数の多い順に、詳しく解説していきます。
給付金件数1位:入院給付金(6,964,077件)│公的医療保険で補えない部分への備えとして重要
2020年4月〜2021年3月期の生命保険協会年次統計によると、2020年度の入院給付金件数は6,964,077件で給付金の中では最も多く給付が行われています。
2017年度からのデータを見てみても給付金件数・金額共に大きな変わりはなく、毎年多くの世帯が入院給付金を受け取っているのが分かるでしょう。
給付金件数 | 給付金額(百万円) | |
---|---|---|
2020年度 | 6,964,077件 | 692,588 |
2019年度 | 7,363,760件 | 722,580 |
2018年度 | 7,037,392件 | 705,210 |
2017年度 | 6,701,619件 | 693,191 |
入院をすると医療費がかかりますが、日本では公的な医療保険制度があるため、医療費の多くは国が負担します。
自己負担額は最大3割のため、かなり負担は軽減されていると言えるでしょう。
それでも月の支払いが高額となる場合は、高額療養費制度による支給が受けられます。
日本では、病気やケガがあったとしても、家計への負担が大きくなり過ぎないような仕組みになっているのです。
しかしながら、入院に伴う費用は医療費だけではなく食事代や個室代、オムツ代など様々あります。
中には病院側の都合で個室の使用を余儀なくされるケースもあり、予想以上に入院費がかさむことも少なくありません。
その一方で、時代の流れとともに平均的な入院日数は減少しています。
厚生労働省が3年毎に行っている「患者調査」によれば、2014年では病院33.2日・一般診療所17.4日であった平均在院日数は、2017年には病院30.6日・一般診療所12.9日となっているのです。
病院 | 一般診療所 | |
---|---|---|
2017年 | 30.6% | 12.9% |
2014年 | 33.2% | 17.4% |
とは言え、例えば妊娠中の切迫流産による入院などでは、半年以上の入院もめずらしくはありません。
統合失調症や認知症などの精神疾患も、長期入院になるケースが多くあります。
入院給付金がもらえるような保険による備えは、必須と言えるでしょう。
短期の入院や日帰り入院なども対象となる保険を選ぶことで、さらに安心です。
「生命保険事業概況|年次統計・2017年度~2020年度|保険種類別契約高|保険金・年金・給付金明細表」より
給付金件数2位:手術給付金(4,410,281件)│手術にはまとまった金額が必要なため備えておくと安心
同じ生命保険協会年次統計によると、2020年度の手術給付金件数は4,410,281件で2番目に多い件数でした。
2017年度からのデータを見ても、同じ傾向が言えます。
手術費は公的医療保険で大半が負担されるとは言え、ある程度のまとまった金額が必要です。
貯蓄が十分にある世帯であれば対応できるかもしれませんが、そのような世帯は少ないのではないでしょうか。
手術に伴い仕事を休まなければならないのはもちろん、手術後すぐに退院したとしても、しばらくは元の通りに仕事ができるとは限りません。
会社員であれば、社会保険の傷病手当金の支給が受けられますが、自営業などの場合は特にその間の収入減に対する備えが必要でしょう。
手術給付金があれば、手術に伴う生活への不安がかなり軽減されるはずです。
入院を伴わない手術の場合で入院給付金の対象とはならなくても、手術給付金の対象となれば給付金がもらえます。
手術給付金がもらえる保険に加入する際には、対象の範囲について必ず確認しておきましょう。
また仮に貯蓄があったとしても、特に子育て世帯などは他にお金が必要となるライフイベントが多いため、うかつに貯蓄を減らしてしまうのは危険です。
手術に対する備えは、別にしておくに越したことはありません。
給付金件数 | 給付金額(百万円) | |
---|---|---|
2020年度 | 4,410,281件 | 433,173 |
2019年度 | 4,621,281件 | 460,840 |
2018年度 | 4,333,121件 | 437,782 |
2017年度 | 4,100,037件 | 421,177 |
「生命保険事業概況|年次統計・2017年度~2020年度|保険種類別契約高|保険金・年金・給付金明細表」より
給付金件数3位:生存給付金(2,447,426件)│教育資金や旅行費などにも使える
同じ統計によると、2020年度の生存給付金件数は2,447,426件でした。
2018年度には前年より減少していますが、その後は毎年給付金件数が増加しています。
生存給付金は、一定期間経過時に生存していた場合に受け取れる保険金です。
生存給付金付定期保険などで受け取れます。
生存給付金付定期保険は、万が一の場合に備えながら給付金が受け取れる保険です。
給付金がもらえる年をうまく設定しておいて、子どもの教育資金にあてたり旅行の資金にしたりしている家庭もあります。
給付金件数が3位というとかなり多いようにも思えるかもしれません。
しかし実は、生存給付金の場合は他の給付金と同様にとらえるのは注意しなければならないのです。
生存給付金は3年毎、5年毎など給付金がもらえるまでの期間が比較的短く、また同じ人が複数回給付金をもらうケースも多いです。
そのため、結果的に件数が多くなっているものと考えられます。
給付金件数 | 給付金額(百万円) | |
---|---|---|
2020年度 | 2,447,426件 | 728,125 |
2019年度 | 2,251,631件 | 629,596 |
2018年度 | 1,908,547件 | 519,380 |
2017年度 | 2,002,379件 | 460,775 |
「生命保険事業概況|年次統計・2017年度~2020年度|保険種類別契約高|保険金・年金・給付金明細表」より
各種保険の保険料相場はどのくらい?|各社発表データから分かる今の平均
保険による備えが大切なのは分かっていても、保険料が毎月の家計を圧迫してしまっては元も子もありません。
現在の生活に無理がない範囲で保険料を設定しなければ、途中で保険料の支払いが困難になる可能性もあります。
もしも支払いが滞ってしまったり、意図せず途中解約することになってしまったりすると、不利益でしかないのです。
一般的に保険料の相場がいくらくらいなのかが分かれば、家計の見直しにもつながります。
既に保険に入っていて保険料が高いなと感じている人や、保険に入りっぱなしで見直していない人にも参考になるはずです。
ここでは各社が発表しているデータを基に、保険料の目安や保険の選び方を紹介します。
生命保険料│年間平均38万円(月額3.2万円)ほど
2018(平成30)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯年間払込保険料は平均38.2万円でした。
これは月額に換算すると約3.2万円。
ただし一世帯あたりの生命保険料のため、一人あたりの生命保険料ではありません。
夫婦のみの世帯や子どものいる世帯、世帯主の親世代を合わせた3世代で暮らす世帯なども含まれています。
さらに年間平均38万円ほどというのは平均値で、最も多いのは年間12〜24万円未満の世帯(16.0%)です。
月額にすると払込保険料は1〜2万円で、年代や世帯年収による差はあるものの、この金額が生命保険料の1つの目安となるでしょう。
12万円未満 | 12~24万円未満 | 24~36万円未満 | 36~48万円未満 | 48~60万円未満 | 60~72万円未満 | 72~84万円未満 | 84万円以上 | 不明 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
14.8% | 16.0% | 12.9% | 9.8% | 6.4% | 4.2% | 2.2% | 5.8% | 28.0% |
*全生保は民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、県民共済・生協等を含む
「2018(平成30)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター」より
医療保険料│年間平均4.2万円(月額3,500円)ほど
医療保険に毎月いくらくらい支払っているのかは、誰もが気になるところでしょう。
医療保険はそのものに特化したデータがなく正確な平均が出せないため、気になって調べてみても分かりにくいのです。
ここでは参考に、2020年4月〜2021年3月期の生命保険協会年次統計から計算した数字を紹介します。
新規契約件数 | 新規契約金額 | 1件当たりの金額 | |
---|---|---|---|
2020年度 | 3,197,049件 | 135,390,000,000円 | 約42,000円 |
上記の計算によると、1件の契約に対して1年間に支払う医療保険の金額は約4.2万円です。
月額にすると約3,500円となります。
ただし医療保険の中には数百円程度のものもあるため、1世帯あたりで考えるとかなり保険料の幅が広いと考えられるでしょう。
医療保険は、年齢や性別、基礎疾患の有無などにより、保険料が大きく異なるのが特徴と言えます。
この金額は目安と考えて、自身や家族の状況に応じて保険料を設定するのが大事です。
一般的に、保険料は年齢が高くなるにつれて高くなります。
しかし医療保険では、年齢が高くて健康な人の方が、若くて持病や既往歴のある人よりも保険料が安いケースもあるのです。
医療保険の場合は元の健康状態によって入院や手術の可能性がかなり変わるため、入れる保険が限られたり疾患のある部分は特定部位不担保(その部位に生じた疾患による入院や手術は対象外となる)となったりします。
最近では持病があっても加入できる保険も人気ですが、その疾患の悪化などに備えて医療保険に加入しようと思うと費用は高くなりがちです。
女性の場合は女性特有の疾患に対する備えを重視する人も多く、女性専用の医療保険も人気があります。
がんへの備えや三大疾病への備えなどもあり、医療保険は簡易的なものから手厚いものまで様々です。
また、株式会社WDCが女性1,000人を対象に行った「医療保険に関する意識調査」によると、医療保険に月々支払っている金額は、年代により大きく異なることが分かるでしょう。
やはり年代が上がるにつれて、支払保険料は高くなっています。
1位 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|
20代 | 1,001円~2,000円(23%) 2,001円~3,000円(23%) | 6,001円~(18%) | |
30代 | 2,001円~3,000円(27%) | 6,001円~(22%) | 1,001円~2,000円(18%) |
40代 | 6,001円~(26%) | 2,001円~3,000円(19%) | 1,001円~2,000円(18%) 4,001円~5,000円(18%) |
注目してほしいのは、月額6,001円以上医療保険に支払っていると答えた人の割合です。
どの世代でも20%前後おり、特に40代では医療保険による保障を手厚くしている人が多いことが分かります。
20代でも18%の人は月額6,001円以上支払っているという結果は、意外ではないでしょうか。
子宮筋腫や子宮頸がん、また出産時のトラブルによる入院などは、若い世代でも可能性が高いものです。
これらに対する備えが数字として表れているのかもしれません。
「生命保険事業概況|年次統計・2020年度|保険種類別契約高」より
「医療保険に関する意識調査│WDC(2022年4月19日発表)」より
保険では、特に死亡・入院・手術に備えるのが〇
様々なデータを見てきた結果、以下のようなことが言えます。
- 保険の契約数は激減しているが、対面販売自粛の影響が大きい
- 必要な期間だけ加入できる定期死亡保険の人気が上がっている
- 医療保険にかける金額は減少しているが、医療保険そのもののニーズは高まっている
- 入院給付金・手術給付金の件数が多い
- 保険料は月額1~2万円の世帯が多いが、年齢と共に特に医療保険にかける金額が増えている
つまり、保険を選ぶ際には、以下の点を参考に選ぶのがおすすめです。
- 家庭の状況に応じて死亡保険を選択するのが〇
- 収入が少なくても、定期死亡保険で必要な保障が得られる
- 入院・手術への備えとして医療保険は必須
- 手軽に入れるネット保険も選択の一つ
- 家計に無理のない保険料の設定が大事だが、年齢と共に医療保険も重視すると良い
自分の家庭に合った保険を選ぶポイント│目的と家庭の状況を把握する
保険には多くの種類があり、それぞれ目的が異なります。
優れた保険であったとしても、それが今のあなたの家庭に必要とは限らないのです。
自分の家庭に合った保険を選ぶには、まず保険に入る目的を明確にしなければなりません。
家庭の状況と今後の見通しを把握し整理することで、本当に必要な保険を選びましょう。
ここでは、家族構成別に必要な保険を選ぶポイントを紹介します。
単身世帯│死亡保険は重視しなくても良い。医療保険で入院・手術に備えて
独身で単身世帯の場合、万が一の場合があっても自分の収入がなくなって困る家族はいない場合が多いでしょう。
つまり、高額な死亡保険による備えは重視する必要がありません。
単身世帯に必要なのは、病気やケガなどに対する備えです。
病気やケガなどで入院や手術をした場合の費用や、その間働けなくなり収入が減少することへの備えをしておくと良いでしょう。
若い世代であっても、ケガのリスクは誰にでもあります。
また女性特有の病気(子宮筋腫や子宮頸がんなど)は、若い世代でもかかりやすい病気です。
特に十分な貯蓄がない20代のうちにこのような病気で入院・手術となると、費用を工面するのは大変でしょう。
家系的にリスクが高い人(近親者にがんにかかった人がいるなど)は、出来る限り早めに備えておくと安心です。
また、単身世帯では早めに老後の備えについても考えておかなければなりません。
終身保険など、貯蓄性のある保険を選択するのも良いでしょう。
ただし、保険はあくまで保障がメインです。保険以外の手段も考えておきましょう。
死亡保険 | 重視しなくて良い |
---|---|
医療保険 | 特に重要 |
その他 | 老後の備えを検討 |
夫婦のみ(子どもなし)の世帯│病気やケガに対する備えを特に重視
子どもがおらず夫婦のみの世帯では、共働きかどうかで必要な保険が変わります。
夫婦が共にフルタイムで仕事をしており、それぞれ独立して生活ができる程度の収入がある家庭も多いでしょう。
このような家庭では、どちらかに万が一の場合があったとしても、ある程度の生活が送れるはずです。
死亡保険は必ずしも必要ではなく、入るとしても少額の保障にして保険料を抑えるという手もあります。
一方で特に重視したいのが、医療保険による病気やケガに対する備えです。
病気やケガは1人だけの問題ではなく、それを支える配偶者にとってもかなりの負担が考えられます。
精神的、肉体的なダメージだけではなく、家計にも大きなダメージがあるでしょう。
本人が仕事ができなくなるだけではなく、配偶者の仕事に影響が出る場合も多いため、医療保険による備えが必要です。
病後や術後に無理をして仕事復帰をしてしまうと、体力が戻りきらず不調が長引くこともあります。
給付金により生活に安心があれば、必要な休息が取れるでしょう。
どちらかが専業主婦(もしくは専業主夫)の場合は、死亡保険による保障が重要です。
一方がパートやアルバイトなど、収入が十分ではない場合も同様です。
万が一の場合になったとき、残された配偶者は主な収入の手段を失ってしまいます。
その状況でもある程度の生活が維持できるような備えが必要です。
特に自営業者などは、会社からの支えがない状況だと考えられます。
何があっても大丈夫と言える備えをしておくことは、配偶者に対する責任とも言えるでしょう。
また子どもがいない世帯では、老後の生活を自分たちだけで担う必要があります。
早い段階から老後の備えを視野に入れておくと安心です。
いずれにせよ、結婚時に今までのお互いの保険を確認するのをおすすめします。
夫婦型の保険や家族型の保険もありますが、夫婦それぞれに保険に加入した方がライフステージの変化に対応しやすいでしょう。
将来的に子どもを持つ意思があるかについても重要なポイントです。
次の「夫婦と子どものいる世帯」を参考にしてみてください。
死亡保険 | 共働きの場合は必ずしも必要ではない 専業主婦(専業主夫)や収入に差がある場合は必要 |
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医療保険 | 入院・手術への備えは特に必要 |
その他 | 老後の備えを視野に |
夫婦と子どものいる世帯│死亡保険は重要。医療保険の他に教育資金についても検討が必要
子どもがいる世帯では、万が一の場合の死亡保険が重要です。
両親のどちらかが亡くなった場合、一般的に経済状態の悪化は避けられません。
遺族年金など公的な保障もありますが、今まで通りの生活ができるほどの保障ではなく、特に自営業者の場合は遺族厚生年金がない分、少なくなります。
子どもが成人するまでの間、生活費に困ることがないような備えが必要です。
共働きの場合は、配偶者の収入も考慮した上で保険金額を設定すると良いでしょう。
保障額を多くした方が安心ではありますが、毎月の保険料に追われて生活が苦しくなるような金額にするのは無謀です。
収入が低い人や保障額を高くしたい自営業者などは、定期死亡保険をうまく活用するのがおすすめ。
掛け捨てのため貯蓄性はありませんが、手頃な掛け金で必要な時期に十分な備えが得られます。
医療保険はもちろん欠かせません。死亡保険とのバランスを見て、最低限の保障だけでも付けておきましょう。
ネット保険などを利用すると保険料が安くなるため、十分に情報収集をした上で利用するのもおすすめです。
また子育て世帯では、生活の保障に加えて子どもの教育資金についても備えておかなくてはなりません。
子どもの進路によってかかる教育費は大きく異なりますが、国から支給される児童手当をすべて貯めたとしても、全くまかないきれないのが現状です。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額は幼稚園〜高校まですべて公立に通った場合で541万円でした。
すべて私立に通った場合では1,830万円となり、子どもの教育資金にはかなりの金額が必要であると分かります。
大学への進学をしなかったとしても最低でも500万円程度は必要なため、児童手当の総額(約200万円)との差額300万円は自分で準備する必要があるのです。
公立幼稚園 | 私立幼稚園 | 公立小学校 | 私立小学校 | 公立中学校 | 私立中学校 | 公立高等学校 | 私立高等学校 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
649,088円 | 1,584,777円 | 1,926,809円 | 9,592,145円 | 1,462,113円 | 4,217,172円 | 1,372,072円 | 2,904,230円 |
(注)金額は、各学年の平均額の単純合計
教育資金への備えとしては、学資保険に加入する他、解約返戻金を学費として利用するのも手です。
ただし解約返戻金の場合は、それまでに支払事由がないのが前提となります。
結果的に学費として利用するのは良いのですが、最初から頼りにするのは危険かもしれません。
コツコツと貯蓄ができれば問題はありませんが、計画的に貯蓄をする自信がない場合は学資保険の利用がおすすめです。
死亡保険 | 必要特に子どもが成人するまでの期間は保障を厚くしておくと安心 |
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医療保険 | 重要だが、支払いが困難にならないようにネット保険なども活用すると〇 |
その他 | 学資保険などで教育資金を用意すると良い |
「平成30年度子供の学習費調査の結果について│文部科学省」より
夫婦のみ(子どもが独立)の世帯│死亡保障の減額を検討する一方、老後への備えも視野に
子育てが終わり、子どもが独立した世帯では必要な保障が変わります。
今まで死亡保障を手厚くしていたのであれば、子どもが独立した分減額が可能です。
配偶者の就労状況などによって検討すると良いでしょう。
年齢が上がれば入院や手術のリスクも高まるため、医療保険の保障を見直すのもおすすめです。
がんや生活習慣病など、かかりやすい病気には特に注意しましょう。
子育て期に比べると時間的な自由は生まれると思いますが、身体の不調を感じやすい世代でもあります。保険による備えの他に、健康診断を欠かさないことも重要です。
病気が見つかってしまってからでは保険への加入は困難です。健康に不安がある人は、少しでも早めに加入や見直しをしましょう。
また、子どもが独立し教育資金の必要がなくなったのであれば、今度は老後への備えにシフトしなければなりません。
いつ健康上の問題が起こるか分からず、いつ社会が変化するかも分からないのです。
終身保険など貯蓄性のある保険に加入していないのであれば、個人年金保険や介護保険(民間)への加入を検討しても良いでしょう。
死亡保険 | 子どもの独立と共に減額しても〇 |
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医療保険 | 特に重視がんや生活習慣病に対する備えも |
その他 | 老後の備えが必要 |
保険は今の生活も将来の生活も守ってくれる
毎月の保険料は、健康な間は無駄な出費に思えるかもしれません。
しかしいざ何かがあったときには、確実にあなたや家族の助けになってくれます。
実際に「早く保険に入っておくべきだった」「保険に入っていなかったため大変だった」という声は聞いたことがあるでしょう。
同時に「保険に入っていて本当に助かった」という声も同様です。
お金の不安は、健康の不安と同じくらいに大きなものです。
保険により日々の安心を手に入れられるのは、私たちの権利と言っても良いかもしれません。
自分や家族に合った保険を選びましょう。